Fresh Kit 開発ストーリー 第2話

商品開発に難航・・・2年かけて辿り着いた利便性
商品開発責任者 船戸
開発に2年もかかってしまいました。
よく自炊をされる方でも、保存容器のフタそのものを強く意識することは、あまりないと思います。ただ、真空保存という仕組みを耐熱ガラス容器で使おうとした瞬間に、フタに求められる役割は一気に増えます。
真空保存は、鮮度を保つという点ではとても理にかなった仕組みです。ただ、空気を抜くことで密閉力が高まるため、その力がそのままフタの開けにくさとして現れてしまいます。ここが、構造上どうしても避けられない弱点でした。
「しっかり真空になるほど、フタは重く感じやすくなる。」
この矛盾をどう解決するかが、最初に立ちはだかった大きな課題です。
試作サンプル

さらに、OoBLEの真空保存は真空圧が強い分、その負荷を何度も繰り返し受け止められる耐久性も必要になります。真空保存と解除を一度行うだけであれば問題がなくても、毎日のように使われる中で、何百回と同じ動作が繰り返される。その状況に耐えられない構造では、長く安心して使ってもらうことはできません。
開けやすさと、真空性能。そして耐久性。この三つを同時に満たすフタを実現させることは、簡単な調整ではどうにもなりませんでした。少し改善すると、別の部分に影響が出る。その繰り返しの中で、設計を一から見直す判断を何度もしています。
結果として、フレッシュキットのフタが完成するまでに、構想から約2年の時間がかかりました。妥協せずに向き合い続けたからこそ、ようやく自分たちが納得できる品質にたどり着けたと思っています。

バルブの2段階構造で開けやすさを解決
真空容器の「開けにくさ」は、バルブ構造によって空気の通り道がしっかり確保されていないことが一番の原因です。初期サンプルでも、バルブを持ち上げて真空解除を行うこと自体はできていました。しかし、バルブは手を離すと重力で元の位置に戻ってしまい、その結果、再び密閉に近い状態になってしまう。一度は空気が入っても、フタを開けようとする瞬間に空気の通路が塞がれてしまうため、引っ掛かりや重さが残ります。
そこで着目したのが、バルブを単に持ち上げることではなく、真空解除後に空気の通路をきちんと維持する構造です。その結果採用したのが、バルブを持ち上げた状態を保持できる「2段階構造」でした。
この構造によって、指で軽く持ち上げるだけでバルブが下に戻らず、フタを開けるまで空気の通り道が確保されます。この点をクリアすることで、真空性能を維持したまま、開けやすさを大きく改善することができました。

柔軟性のコントロールで、利便性アップ
バルブには二枚の「かさ」のような構造がありますが、それぞれに明確な役割を持たせています。下側のかさは、真空保存時に容器としっかり密着する必要があるため、密閉性を優先して薄く設計しました。
一方、上側のかさは、指で持ち上げる動作を繰り返しても形状が崩れにくいよう、耐久性を重視して厚みを持たせています。

さらに意識したのが、バルブのつけ外しのしやすさです。真空保存容器は、衛生面を考えるとバルブも含めて毎回きちんと洗いたいという方が多いと思います。そこでフレッシュキットでは、無理な力を加えなくても取り外せるよう、バルブ底部のシリコン素材をあえて柔らかめに設計しました。指でつまんだときに余計な力を必要とせず、自然な動作で外せることを重視しています。
ただ、柔らかくしすぎてしまうと、繰り返し使う中で耐久性に影響が出てしまいます。そこで、真空保存を何度も行っても問題が出ない範囲を見極めながら、素材の硬さや形状を細かく調整しました。取り外しやすさと耐久性、そのどちらかに偏るのではなく、日常的に使い続けられるバランスを取ることを意識しています。こうした検証を重ねることで、洗いやすさと安心して使える強度の両立を図りました。
「ちゃんと閉まる」と「洗いやすい」を両立したパッキン
バルブと同じように、パッキンも「きちんと洗いたい」と考える方は多いはずです。
フレッシュキットでは、パッキンを簡単に取り外し・取り付けできる構造を採用しました。無理な力をかける必要がなく、洗うときも戻すときも手間やストレスをできるだけ減らす設計にしています。
ただし、パッキンは「外しやすければそれでいい」部品ではありません。真空保存では、パッキンのわずかなズレや密着不足が、そのまま真空性能の低下につながります。実際、初期の試作段階ではガラスのフチ部分だけで密閉する構造を採用していましたが、ほんの少しズレるだけで真空がかかりにくくなるケースがありました。見た目では問題がなくても密閉が甘くなり、結果としてやり直しが必要になることもあったのです。
そこでパッキンの構造を見直し、ガラスのフチだけでなく、容器の内側にも触れる設計に変更しました。この構造にすることで、フタを閉めたときに自然と正しい位置に収まり、ズレが起きにくくなります。意識しなくても正しい状態で密閉されるため、真空が安定しやすくなり、使うたびに迷いや不安が生まれにくくなりました。

真空圧と向き合って生まれた、フタ構造の答え
真空保存を前提とする以上、フタには高い耐久性が欠かせません。
保存と解除のたびにフタには一定の真空圧がかかり、その負荷は繰り返すほど少しずつ蓄積されていきます。短期間の使用では問題がなくても、長期間にわたって何百回、何千回と使われる中で変形や破損が起きてしまっては、安心して使い続けることはできません。そこでフレッシュキットでは、最初から「何度も真空保存を繰り返すこと」を前提に、フタの構造設計を行いました。
初期の試作段階では、フタの素材にABS樹脂を採用し、衝撃への強さや基本的な耐久性は確保できていました。しかし、真空保存と解除を繰り返す耐久シミュレーションを行う中で、真空圧が継続的にかかることで、フタ裏の特定の箇所に負担が集中しやすいことが分かってきました。

すぐに壊れるわけではないものの、長く使い続けることを考えると、十分とは言えない状態でした。
そこで着目したのが、フタ裏への梁構造の追加です。
フタ裏に梁を設けることで、真空圧による力を一点に集中させるのではなく、全体に分散させることができます。この構造変更によって、繰り返し真空状態になることによる歪みや変形が起きにくくなりました。
梁の設計は一律ではありません。
フレッシュキットは全5サイズありますが、容器の大きさが変われば、真空時にかかる圧力のバランスも変わります。そのため同じ構造を流用することはせず、サイズごとに真空圧のかかり方を想定し、梁の配置や厚みを個別に調整しました。見た目は同じフタに見えても、内部構造はサイズごとに最適化されています。
こうした設計が本当に有効かどうかを確かめるため、社内では真空圧を想定した耐久シミュレーションを繰り返しました。その結果、真空保存と解除を700回以上行っても、フタの変形や破損に問題がない水準まで耐久性を高めることができました。
こだわりを詰め込みました
今回は主に、ガラス容器のフタを中心に、フレッシュキットに込めたこだわりをお伝えしました。ただ、フレッシュキットはフタだけでなく、容器、バッグ、ポンプまでを含めたひとつのセットです。今回ご紹介しきれなかったポンプやバッグにも、同じように細かな工夫とこだわりを詰め込んでいます。手に取っていただいたお客様に、使う中でその違いに気づいてもらえたら、これほど嬉しいことはありません。

わずかな仕様変更でも追加で2〜3ヶ月かかってしまうため、構想から完成までには約2年の時間を要しました。それでも、焦って中途半端な状態で販売することなく、納得できる形で世に送り出せて本当によかったと感じています。フレッシュキットが、日々の料理や保存を、少しでも心地よい時間にできたら嬉しいです。
第3話
目指すのは、世界一おいしさをキープするブランド。