Fresh Kit 開発ストーリー 第1話

OoBLEにとっての「良いデザイン」とは
共同創業者 山本
ライスストッカーを販売して見えたこと
OoBLEの主力商品である真空ライスストッカーは、ありがたいことに多くの方に手に取っていただくようになりました。実際に使ってくださったお客様から、レビューやメッセージを通して、さまざまな声をいただいています。
その中で、少しずつ増えてきたのが、「生鮮食品の保存にも使えないのか」「冷蔵庫や冷凍庫で使える真空保存容器は作らないのか」といったご要望でした。真空保存という仕組みそのものに価値を感じていただいているからこその声だと感じ、とても嬉しく思いました。

一方で、真空ライスストッカーは常温保存を前提に設計した商品なので、この1商品だけでご家庭の食品保存すべてをカバーすることは難しいという現実もありました。お客様の期待に応えたい気持ちと、商品の役割との間で、少し悩むようになったのも正直なところです。
ただ、この状況を「足りない」と考えるのではなく、「まだ手を伸ばせていない領域がある」と捉えるようになりました。常温保存についてはライスストッカーがしっかり役割を果たしている。そうであれば、冷蔵庫や冷凍庫でも、同じ真空保存の価値を届けられる商品があってもいいのではないか。そう考えるようになったことが、フレッシュキットの開発を始めたきっかけです。

OoBLEにとっての「良いデザイン」とは
フレッシュキットの企画を考え始めたとき、あらためて向き合うことになったのが、「OoBLEにとって、良いデザインとは何か」という問いでした。冷蔵庫や冷凍庫で使う保存容器は、ライスストッカーとは使われ方も環境もまったく異なります。

「あの商品はデザインが良いよね」という言葉は、日常の中でよく聞く表現だと思います。多くの場合、それは見た目の美しさや第一印象の良さに対して使われています。もちろん、それもデザインの大切な要素のひとつだと感じています。
ただ、改めて「デザイン」について向き合う中で、その言葉について少し立ち止まって考えるようになりました。これは私だけじゃないと思うのですが、見た目は洗練されているのに、実際に使ってみると操作が分かりにくかったり、機能が多すぎて結局使わなくなる商品に出会うことがあります。外側はきれいなのに、裏側の作りを見ると簡素で、長く使うことを前提にしていないように感じる商品に出会うこともありました。それなりの値段を出して買った商品であればあるほど、「うーん…」という、なんともいえない気持ちになることがあります。
私が考える「良いデザイン」は、外観の美しさだけで完結するものではありません。使うたびにストレスを感じないこと、誰でも自然に使えること、そして長く使い続けられること。そうした体験も含めて、はじめてデザインとして成立するのではないかと思っています。

なぜ、フレッシュキットはこの形になったのか
最初から今の形を想定していたわけではありません。むしろ、企画の初期段階では「こうした方が分かりやすいのではないか」「この方が親切なのではないか」という案をいくつも検討していました。
たとえば、最初は取手付きの容器を作ろうとしていた時期があります。保存容器に取手があれば、持ち上げやすくて便利そうに見えますし、使う人にとっても親切な設計に思えました。ただ、実際に試作を重ねていく中で、取手があることで洗いにくくなったり、収納時にかさばったりすることが気になり始めました。最終的には、構造そのものを見直すことで、取手がなくても自然に開けやすいフタを実現できる可能性が見えてきたため、この案はやめる判断をしました。

また、容器を積み重ねたときの安定感についても、当初はカチッとはまるような凹凸をつける設計を検討していました。積み重ねたときにズレにくく、フィット感が分かりやすい構造です。ただ、この凹凸があることで、見た目が少し騒がしくなったり、洗うときに汚れが残りやすくなったりすることが分かってきました。検討を重ねた結果、凹凸で固定するのではなく、外側にフチをつけて天面をフラットにすることで、見た目の落ち着きと安定感の両方を確保できる形に落ち着きました。

こうした判断は、最初から正解が見えていたわけではありません。便利そう、分かりやすそうという理由で採用しようとした案を、一度立ち止まって見直し、実際の使い勝手や日常の動作に照らし合わせて、やめる決断をする。その繰り返しです。最初からシンプルにしようとしていたというよりも、試行錯誤を重ねる中で「なくても困らないもの」を一つずつ手放していった結果、今の形にたどり着いたのだと感じています。

商品単体ではなく、ブランドとしてどう見えるか
もうひとつ大切にしていたのが、「この商品単体でどう見えるか」だけで判断しないことでした。OoBLEとして商品をつくる以上、他のラインナップと並んだときに、同じ思想から生まれたものとして感じられるかどうかは、とても重要だと考えています。
主力商品であるライスストッカーもそうですが、どちらも真空保存という共通の価値を持った道具です。形やサイズは違っても、キッチンに並んだときに、「同じブランドのものだ」と自然に分かること。その違和感のなさは、後から調整できるものではなく、企画のかなり初期段階から意識しておく必要がありました。

色味についても、フレッシュキット単体で映えるかどうかではなく、ライスストッカーと並んだときの印象を何度も確認しています。白とグレーを基調にした落ち着いたトーンは、目立たせるためというより、生活の中に置いたときに浮かないことを優先した結果です。「今回もOoBLEらしいね」と言ってもらえるような、そんな一貫性を大切にしたいと思っています。

また、フレッシュキットのサイズ展開についても、あとから必要に応じて増やすのではなく、最初から複数サイズを揃える判断をしました。食材やレシピ、使う人の暮らし方によって、「ちょうどいいサイズ」は変わります。選択肢を用意することで、使う人が自分の生活に合わせて選べる。その余地を残すことも、OoBLEが考えるデザインの一部です。


商品を通して実現したいのは、何かを主張することではなく、使う人の気持ちが少し整うような感覚です。冷蔵庫に並んでいるだけで、どこか落ち着いた雰囲気がある。そんな道具が、毎日の生活の中に自然に溶け込んでくれたら嬉しいと思っています。

フレッシュキットも、真空米びつも、目指しているのは同じ方向です。商品は違っても、考え方は変わらない。その積み重ねが、OoBLEというブランドを少しずつ形づくっていくのだと思っています。
遊び心もいくつか取り入れています
実はフレッシュキットには、ちょっとした遊び心も入れています。正直なところ、気づいてもらえなくても全然かまいませんし、知らなくても使い勝手には何の影響もありません。ただ、つくる側としては、こういう要素を仕込むのが単純に楽しいのです。
OoBLEの名前の由来にもなっている二重丸(◎)のモチーフは、その分かりやすい例です。ポンプを真上から見たときの形だったり、容器やバッグの吸引口だったりと、実はいろいろな場所にこっそり二重丸を入れています。バルブ単体で見たときにも同じモチーフが隠れているのですが、これは言われないとまず気づかないと思います。


ポンプの形状にも、少し遊び心を入れています。よく見ると、下に向かってわずかに広がる末広がりの形になっていて、縁起の良さを意識したデザインです。また、側面には六角形のハニカム柄を取り入れていますが、これも単なる装飾ではなく、それぞれに意味を込めています。

さらに、ポンプで吸引しているときに点灯するブリーズライトも、個人的に気に入っているポイントです。真空に向かっていく動きに合わせて光る様子が、どこか呼吸をしているように見える。この機能自体はなくても困らないかもしれませんが、使うたびに少しだけ気持ちが動く、そんな体験になればいいなと思っています。
こうした遊び心は、決して目立たせたいわけではありません。むしろ、さっきもお伝えしたように気づかれなくてもいいとさえ思っています。ただ、あまりにもシンプルに振り切ってしまうと、道具としては正しくても、どこか味気なくなってしまう。機能性や使いやすさを大切にしながら、その中に少しだけ人の気配が感じられること。そういったバランスを、今後もOoBLEとして大事にしていきたいと考えています。
第2話
